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2006年03月16日

立場と責任と、銀の弾丸が飛び交う戦場と

いつも通りキモイ自分語りから始めますよ('A`)

僕が某社に勤めていた頃。他に出来る人が居ないという理由で職級超えでプロジェクト責任者として某作業を進めることになった。自分以外には新人君1名と外注協力者1名という大変小さな小さなプロジェクト。平行してもう一つ小さなプロジェクトの責任者も兼ねてるという嬉しくない二本立て。心と体に優しくないね。

このプロジェクトの最中、どうしても自分よりキャリアも歳も上の外注さんにうまく指示が出せなかった。出せなかったんではなく、遠慮して出さなかった、という意味合いが強かった。給料はたぶん僕のが外注さんより高いし。

それでもなんとかプロジェクトは進み(4週間休日なしだったけど)、そろそろ納期が迫ってきた頃、仕様変更が発生。これについてはこちらも了承済みだったので問題は無かったけど、それに伴って発生した作業をどう片付けるか、という問題が生まれる。ま、当然ですが。

で、責任者だし仕方ねえな、ということで僕が会社に泊まってその寄ったシワを延ばした。翌日、僕の上司が血相変えて飛んできた。「外注さんは定時であがってるのに、なぜ泊り込むような状況なの?」つまりこの場合、外注さんに僕が余剰に抱えている作業を分担してもらう、というのベターな解決が出来なかった。

あの業界は労務構造がイビツで「繁閑の差」だの「専門知識を有する」だのと言いながら人件費の安い会社へ作業を流す、という慣習が存在する。僕はその前後からこの構造に著しく納得できない何かを感じていた。だからなのか外注さんに無用の遠慮をして作業を割り振れなかった。作業規模の見積と発生する金額の計算は問題なく出来てたわけだから、頭で理解してても心が受け付けない、というジレンマを抱えていたのだ。

要するに僕は使われる側ならホイホイと仕事を行えるのだが他人に指示が出せない、という完璧に出世できねぇ技術一本槍のバカSEなわけだ。それから暫くして、いろいろあって会社を退職し、あの頃は若かったからそういう考えが出来なかったんだろうか?などと時々自問しながら現在に至る。

大変長くなったが本題。

皇国の守護者〈1〉反逆の戦場
佐藤 大輔
中央公論社 (1998/07)
売り上げランキング: 1,283

この小説が大変面白い。

ネタバレなしでかいつまんで説明すると地球っぽいけど別の世界。月の替わりにアステロイドベルトが星を囲んだ超能力も龍も存在するファンタジーな世界。けれどその世界は19世紀の地球に似ており電気が未発明で蒸気機関の活用が行われはじめた、という文明設定。その中で皇を擁き海に囲まれた列島国家へ帝政が敷かれた強大国が攻める、という戦争譚。圧倒的な物量を前に、ありとあらゆる資源で負けてる皇国がいかにして戦うのか、という思考実験でもあります。

うん、ものすごい地味。銀河英雄伝説に比べたらケタ違いに地味。けど細部まで極力現実的な考証を詰めているぶんこっちのほうが断然僕の好みだ。作者がミリタリー畑出身のボードゲームプランナーってだけで、どんだけコアに考証してるか分かると思う。

そしてこの物語の主人公は皇国の下士官だ。超がつく合理主義、現実主義者。当然主人公なので、痛快なまでに戦いに勝ちつづけるのはお約束なんだけども。この主人公は仕官未満の兵卒を物凄く大切にする。変わりに上官である主人公はいつでも上官であろうとする。それは普段の態度から、命令を下すときまで変わりなく。

よく考えれば軍隊も僕の居た会社の開発スタイルも同じようなモンなんだ、と読んでる途中で気が付いた。軍隊は分隊、小隊、中隊…と人数規模に合わせて組織が大きくなる。それぞれの隊には長がいて、意思の伝達はそれ経由で実施される。ソフト開発も開発規模と期間に合わせて分隊規模の作業から二個大隊が突っ込まれるような大作戦まで広く存在する。

軍事関係の書籍を読んでて知ったんだけどナポレオン以降(になるのかな?)の近代的なスタイルの軍隊ってのは、どこの国でも分隊、小隊、中隊などそれぞれの隊ごとに人員の最大数が決まってるそうだ。分隊は多くて10人。小隊は分隊3~4つ。中隊は小隊3~4つ。あ、これは歩兵の場合ね。

たしかOS/2のあとWindowsNTを開発した責任者の著書で「1チームはどんなにがんばっても12人が限界。それ以上人が増えるとチーム内で意思統一が図れない」という一文を見た。(ウロ憶えでポインタが示せない)。つまりソフトウェア工学…というか管理工学的にこのルールは経験則として物凄く正しいってことだ。トップダウンの命令系統を持つ組織であれば。

話を戻そう。皇国の守護者の中でこういう台詞が出てくるくだりがある。

「軍の行動によって生じた問題の責任は、それを命じた者だけが背負う。命じられた者ではけしてない」

この台詞を見てはっとした。これをソフト開発の世界へものすごーく強引に置き換えたら、上流は責任をもつ、であるがゆえに下流は責任から放免される。なので時間あたりの給与に差が出る。なんて見方が出来る。少なくともそういう側面があることは否定できない。随分と飛躍した論理だけど僕は会社を辞してからもなお悶々と抱えていた何かがすーっと解けた気がしたんだ。

それと同時に驚いたのが、この小説の作者、ここまで真実味の高い重い言葉をよくもまあ考えてるなぁ、ということ。こういうのって縦割り組織に居てもあんまり気づかないモノなんじゃないでしょうか。むしろ気づかなかった僕が足りてないだけのような気がしてなりませんが。

「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」とは鉄血宰相ビスマルクの言葉ですが、僕は経験してる上に歴史から学ばず、挙句のハテにこんなコアなフィクションでようやっと理解した気になってるわけで、果てしなく思慮浅い人間だなぁと再確認しました。

最後に何が言いたいのかっつーと、「皇国の守護者」メッチャ面白いですよん、ってことだ。

コメント

あるねーこーゆーの(笑

で、げんきかぃ?(笑
いじょw
[壁](・・ )))。。。サササ

>うっかりちょん

やっぱ少なからず似たような思いはしてんのねw

僕はめっさ元気ですよ!36時間起床12時間睡眠サイクルで生活中。ここの更新が元気の便りってことでw

元気そうで何より(笑

ねーさんは、MH2へ芝刈りに
うっかりは、川へ洗濯・・・・チガw

(言えない、作って放置してたFFのLS・・・・
 まだ残ってて・・・覗きにいったら・・・・・・
 LSメンバーに再教育サレマシタ(’’

ちなみに僕はまだノブやってるぞい。戦闘ぜんぜんしてへんけどな!

楽しく読んでたら皇国がでたので・・・
ご存知かと思いますが、コミックスにもなってます。こちらもオススメ。漫画は伊藤悠さんなのです。

>巫女さん
ハテ…誰じゃろか…

記事には書かなかったんですが、僕もコミックスから入ったクチです。月刊誌連載だから話がさっぱり進まないので、諦めて小説既刊全部をカっとなって買った、という経緯があります。

小説2冊でコミックス4冊ぶんっぽいペースなのでこれはいよいよ大変なことになりそうですよね。

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