空想
僕が横浜に住んでいた頃。確かそれはメンタルクリニックに通いだす前の頃で、心身のバランスが喪失し、心がおかしくなるトリガーが弾かれた直後くらいのこと。
明日も仕事なのに、疲れているのに眠れない。何をしたって眠れない、という丑三つ時を大幅に過ぎた頃。諦めてTVをつけて、陽気なアメ公の通販番組でも見ようとしてたわけで。リモコンのボタンを虚ろにぽちぽち押していた。TV朝日を選択したときに手が止まった。
当時TV朝日は深夜帯(他の局ならカラーバーが出る時間)に、D's Garageという番組でとりあげた個人製作のCGアニメを延々と流してた。ウゴウゴルーガみたいなシュールなものから緻密な芸術まで幅広く、個人製作でここまで出来る!という時代の幕開けを提示していた。ま、権利関係がシンプルだったから流してたんだろうな。
そのとき見かけた映像でひときわ印象に残っているのが中華風なのに町並みが昭和レトロ調。それでいて近未来な匂いがぷんぷんする。女の子が路面電車を待ってて、はす向かいのお店の品物に夢中になってて、電車を乗り過ごすという、それだけのショートムービー。
漠然とした不安が重くのしかかる朦朧とした当時の頭で憶えているんだから、インパクトは相当なモノだった。
けど、その場で調べることもせず、そのムービーを眺めながら、明け方近くにウツラウツラと入眠できたように憶えている。
それの作者のサイトがこのたび、ひょんなことで見つかった。
このような屈強な想像力の元に作品を生み出す、という頭の配線が残念ながら僕の脳には殆ど存在しないため、何をどうすればこんな世界が構築できるのか、まったく分からない。
ただ、細部まで色々考えたであろう痕跡は随所に感じることが出来る。しっかりとしたインダストリアルデザイン&SF。
このサイトのCGを眺めてて、こう、なんと言うか「人造物の途方もない感」がふんだんに盛り込まれているため、これほどまでに惹かれるのだろうか、と思う。
ウチから車で1時間半ほどかかる所に瀬戸大橋の付け根があるのだが、あの下を車で走ると「何か」を視界から流れる景色から感じとることが出来る。それを他人に説明できる言葉を今の僕は持たない。
けど、おそらく「リアリティのある」「人造物の途方も無い感」という非常にわかりづらい形容が、なんとなくしっくりくる。
凡庸な言葉より一枚の絵。
そのうち瀬戸大橋の付け根、デジカメで収めてきます。






